「現代美術コレクター」 高橋龍太郎 著

著者は日本の現代美術のコレクターであり、精神科医である。著者自身が評価して集めた現代美術を紹介し、その作品の魅力を語っている。
そして現代美術を収集する上での画廊の案内や、つきあい方、また著者なりの収集のポイントなどを書いている。
同時に、今の日本の美術界の問題点にも触れている。

著者は草間彌生の作品に感動して収集をはじめている。それから会田誠、山口晃に収集が広がる。この3人以外に森山大道(写真家)。合田佐和子、宮永愛子、西尾康之、鴻池朋子、小谷元彦、近藤亜樹、松井えり菜、荒木経惟(写真家)、名和晃平、村上隆、加藤泉、奈良美智について寸評している。

著者は「ネオテニー」という生物進化論の言葉(幼形を保ったまま性的に成熟する現象)を使って日本の現代美術を語ろうとしている。なんとなくわかる気もする。
またマインドフルネス(今の瞬間の現実に常に気づきを向け、その現実をあるがままに知覚する)という言葉で現代美術に接する気持ちを説明する。もっともこれは日本人が茶道などで体験している気持ちと言うが、これはよくわからない。

日本の洋画壇は旧態依然で、現代美術を認めない。一方、洋画の本場の西洋は日本の洋画をフジタ、国吉康雄などわずかしか認めていない。日本の洋画は洋食に過ぎないと評している。実際に買った画廊でも引き取ってもらえないし、他のところで換金しても下手をすれば10分の一になることさえ覚悟しないといけないそうだ。

日本画は家元制度を思わせるような閉鎖的な領域。買って換金しようと思ったらとんでもない低値を言われることが多い。
もっともこれは現代美術も同様で著者も500万円以上である程度認知されている作家でないと危険と言っている。

日本で一年間に卒業する芸大、美大生は専門学校も入れれば1万5千人くらい。その中で歴史に残り、10年先、百年先にもプライスがちゃんとつくのはせいぜい各学年で1人がいいところだろう。

これから日本の現代美術を集めるならばとの留意点もリストアップしている。そして日本の美術館が各県にあって、やたらに多すぎる弊害、美術などの国の予算が諸外国に比べて低い(例えば韓国より低い)点にも問題提起している。




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