「本阿弥行状記(上・中・下)」 和田宗春 訳注

これまで訳されてきた本阿弥行状記は上巻だけだったようだ。それは中、下巻が付録だからということにあったと訳者の和田氏は推測している。訳者はそれではいけないとの使命感から現代語訳にいどまれた。
全380段(380の話)になっており、それを「政治・法律・行政」、「経済・産業」、「社会・労働」、「教育」、「歴史・地理」、「哲学・宗教」、「芸術・言語・文学」に分類し、加えて「本阿弥家」、「刀剣」に分類しており、検索には便利である。

中巻、下巻には徳川吉宗の時代のことも含まれており、明らかに本阿弥光悦とは無関係な人物の追記と思われるものがある。だから資料として重視されてこなかったのだろう。

刀のことは、非常に少なく、刀関係の資料として期待するとがっかりする。訳者が便宜をはかってくれた分類で探すと、380話の内、以下の7つだけが刀のことである。ただし本阿弥関係の話の中にも刀のことは出てくることもある。
①「いまは新刀であっても、一条国広などは、のちの世には正宗、宗近ほどの刀になっているはずです」(48段)
②ほねばみ藤四郎は大坂の陣で木村重成が用い、加賀の小松中納言、小笠原右近は名刀を常にさしていた。(57段)
③鬼切丸国綱は楠木正成が差し、不思議なことが多かった(58段)
④菊一文字は大名でも差すような刀にはしないことだ。(125段)
⑤石田三成は一条国広を召し抱えて沢山(佐和山)に居住させて、正宗、行平などの偽物を作刀させて、秀吉から拝領したと申して諸大名に贈っていた。国広は名のある鍛冶であり、真偽の鑑定が難しい。(196段)
⑥正宗の湯加減の秘密について、ある大名に尋ねられたが、まったくの作り話と答える(197段)
⑦享保に、上様が吟味して新刀の鍛冶と選定した者、助広、国広、真改、虎徹、忠綱、繁慶(241段)

上巻には光悦の母の妙秀の素晴らしい性格(慈悲深い、常に正道を歩む)についての話が多く、印象に残る。
妙秀の孫で光室の姉の妙山という女性のことも高く評価している。本阿弥一族の繁栄はこれら女性の力によるとも読める。

光室も鑑定力もあり、礼儀正しく、情に厚い人物として高く評価している。
京都所司代の板倉父子、松平伊豆守との交流の話もある。

中国の歴史、中国の偉人の逸話なども所載されていて、本阿弥家の者が道を誤らないようにと指針したものと考えられる。


秀吉、頼朝、信長への評は厳しい。信長は残忍。それに大して家康は評価が高い。
平和な時は、飛び抜けた才は政務に失敗することもある

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