「図鑑 江戸三作の研究 ー正秀・直胤・清麿-」 藤代義雄 著

古書であるが、名著として今でも評価が高い。当然、古本の価格も高い。この本は”研究”とあるが、特に銘字の研究書である。水心子正秀と大慶直胤、源清麿の銘字を若年の頃から晩年まで年代別に鮮明な押形を掲げている。その下に作風や銘字に対するコメントを記している。
中には、その時期の銘を狙った偽物の銘を下部に提示しており、偽銘の切り手として鍛冶平や月山貞一の名前を特定しているものもある。

またちょっとしたコラムで作柄の変遷などを記している。「昭和刀の見方」なるコラムもある。戦後の本に、昭和刀の見方などが書かれていることがあるが、原典はこの本のようだ。
「貞一の偽作」のコラムで、明治5年から22年まで、貞一本人の作はほとんど見ないから、この間、江戸三作の偽作を中心に造っていたのではと推測し、この売れない時期の試練が彼の技を進化させたと書いている。

水心子正秀では、若い時に彼が彫った龍の彫りの押形が掲示してあり、刀身彫刻もかなりの腕であったことが理解できた。本荘義胤の彫りも、元は正秀の指導なのかもしれないと思う。
正秀の茎にある「日天」の刻印も、その変遷を示しており、摩耗などで五つ以上あると述べ、この本では六つまで提示してある。関心が無い為か、私には違いがわからないものもある。

これは昭和11年出版の本であり、所載の押形に該当する刀剣の中には、戦時や戦後の混乱の中で失われたものもあると思う。最近の本では見かけないものも多い。

今回、改めて紐解いたが、なるほどと思うことが多い。自分が江戸三作の刀を所持していれば、さらに参考になる本であろう。

戦前に、人の意見の受け売りではなく、自分が観て、集めた資料から、このような本を出版しており、藤代義雄氏は大変な人物であったことが理解できる。愛刀家ならば誰でも持っている『日本刀工辞典』を著した人物である。



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