「江戸の構造改革」 中村彰彦 山内昌之 著

お二人の対談集である。中村氏は小説家で保科正之のことなどを書いている。山内氏は大学教授で国際関係史やイスラムについても詳しい。そのお二人が江戸時代のことについて対談しており、興味深いところもあるが、ピンとこないところもある。各時代の政治の補佐役である幕臣、幕閣についてのお二人のコメントが面白い。

章立ては「1章パックス・トクガワーナへの道」、「2章 江戸開府と徳川三代」、「3章 保科正之」、「4章 五代将軍綱吉の夢見た理想と現実」、「5章 幕末へのカウントダウン-三代改革の時代」である。

「1章パックス・トクガワーナへの道」では西洋が日本と接触した時代のことであり、山内氏のお話などは面白い。神の国を造ろうという宗教が前面に出るスペインとポルトガルと、商売に徹したオランダ、イギリスの違いなど、なるほどと思う。秀吉はスペインのフェリーペ二世を知っていたのではと述べているが、秀吉は誇大妄想気味である。いずれにしても旧教国は日本の武力を見て、新大陸のような植民地化はできないと諦めたわけだ。
また朝鮮出兵の実態にも話が及んでおり、加藤清正以外の武士は懐疑的だったことや、その戦争の実態など興味深い。

「2章 江戸開府と徳川三代」では家康の関東移封について、当時の関東の評価は私と考えが違うが、一つの見方を提示している。秀忠は将軍として勉強した人物と評している。秀忠と家光は68家、石高で約400万石の大名を取り潰している。それぞれの将軍の腹心についてもお二人で論じているが面白いところもある。

「3章 保科正之」は中村氏の思い入れのある人物であり、評価は高い。確かに分をわきまえた立派な人物だと思う。

「4章 五代将軍綱吉の夢見た理想と現実」では綱吉の気まぐれ性について言及している。ここでも当時の側近、有力な幕閣を論じているが、柳沢吉保は気まぐれな綱吉に最後まで信頼されており、そういう面では大変な人物である。またこの章では赤穂浪士のことにも触れている。

「5章 幕末へのカウントダウン-三代改革の時代」では吉宗と尾張の宗春との関係や、それに絡んで御三家のこと、そしてこの章でも、この時代の幕臣や幕閣の話が興味深い。松平定信の改革と保科正之が会津で行った改革との類似性にも触れている。

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