「中世人の経済感覚」 本郷惠子 著

この本では、中世の人の官位への執着のことを詳しく述べている。また中世における銭のことが少し理解できるようになる。銅銭は中国からの輸入品だが、それが流通していて、10文で1疋。100疋で1貫。1貫は銭1000枚、銭1枚は3.5グラムあるから、1貫は約3.5㎏になる。緡(さし)銭として、銭の中央の孔に藁・紐などを通したもので持ち運ぶ。100文(実際は96~97枚)で一緡となり、持ち運びは5緡が単位が多いとのことで、その時は重さは17.5㎏となる。

1貫=米1石。現在価値への変換は米だけでなく、色々なものと比較する必要があるが、1貫で15万円から20万円という研究もある。

市は備前の福岡、信濃佐久の伴野などの様子が『一遍聖絵』にあるが、河原のようなところで立ったようだ。

中世では位階に対する執着は凄く、それを買うことに情熱を注ぐ。従五位下が金で買うことができるもっとも高い位階。五位は大夫(たいふ)だから、中世の説話の金持ちは山椒大夫などとして登場する。

官職は中央省庁にあたる京官と、地方を管掌する外官に分かれる。それぞれの部局の職員は長官(かみ)、次官(すけ)、判官(じょう)、主典(さかん)の四等官で構成される。また僧の世界にも法印、法眼、法橋、また僧正、僧都、律師などがある。

朝廷の行事や寺社の造営の財源に位階・官職を売る。「公事を勤めて功を成す」だから成功(じょうごう)と呼ばれる。すなわち成功の流れは次のようになる。①資金調達を成功によることの決定、②実務官人による功人の選定、③叙位・除目での功人の叙任。

一二世紀初期までは官位の稀少性が保たれていたが、承久の乱後から価格は下落。本来は諸司の三等官が三〇貫から五〇貫。左右兵衛尉が一〇〇貫。左右衛門尉が一五〇貫程度だが、鎌倉時代は価格が一〇分の一程度になる。
ただし、御家人の官位は幕府の統制下にあり、普通に比べ、10~20倍くらいの官位価格になった。朝廷から関東の幕府に依頼がいき、関東別進として幕府が高額な協力金を払う。

寺社の修理、運営資金の援助となる寄進も中世人は行う。神仏を恐れた中世人は、プロの宗教者を間に立てて神に依頼することになる。寄進は寄進者にとっては神仏に協力するという内面的な満足を得られることになる。中世の大金持ちの藤原実重(北伊勢の人) は自身の寄進状況を『作善日記』に記している。神仏側からの仲介者(勧進聖など)がいて、実重に寄進を持ちかけたと考えられる。

説教師という職業が当時の人気職業。澄憲という能説名人は安居院(あぐい)流唱導という派を起こす。説教師は顔がいいことも大事と枕草子にあるように、当時の芸能人だった。話術、説教術で、中世人の心の安定をになうサービス業である。

中世の人が浄土を願う心に取り入って、仏舎利ショーのような娯楽もあった。極楽テーマパークのようなものだ。メインキャラクターは阿弥陀菩薩、音楽として読経が聞こえ、浄土のイメージ演出したわけだ。

中国からの銅銭輸入は凄いものだった。新安沈船の舟底には二十八トンもの銅銭を詰んでいた。800万枚=8000貫である。こういう船が行き来をしていた。

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