「トーマス・ルフ展」 於国立近代美術館

トーマス・ルフはドイツの写真家である。はじめに大きなポートレートの写真が5枚ほどある。大きい写真であり、何か奥行きを感じてしまう。詳しい技法はわからないが、たた写真を引き伸ばしただけではないような感じである。画素も細かい。展示作品の中では、このシリーズが一番印象に残っている。

それから建物の写真もある。何の変哲もない建物の写真である。これも大きい写真だ。対象物の建物に、建築上の価値があるというわけではないようだ。生活臭も無い写真だが、そこに生活している人を想像させるのだろうか。

それから宇宙の星の写真だ。実際に本人が撮った写真ではなく、どこかの天体望遠鏡での写真を加工しているようだが、なかなか魅力的な写真だ。これも大きい写真だ。

ニュースペーパーに使った写真を、その写真の裏に記してある文字(日本の新聞社のが多い)も一緒に写し込んでいる写真もある。文字が、その事件の臨場感を高めているような感じがする。

夜の風景を特殊な撮り方(赤外線?)で撮った写真もあるが、だから何なの?というもの。

モンタージュ写真もある。顔の部位を組み合わせたものだ。これも現代を感じる。

ネガをそのままプリントしたような古い時代(インドのマハラジャなど)の写真もあった。かえって当時の色はどんなものだったのだろうと想像力をかき立てるものだ。

火星の表面の模様のような写真や、いくつかの軌跡を持つ線を写真にしたものもあり、ハッとするところはある。

ヌードのシリーズもあるが、既存にあるヌード写真を色々と修正したような作品である。展示コーナーに注意書きがあるが、猥褻感など何もない。だからと言って美しいとかいうものではない。「ああ、こんなふうに修正しちゃったのね」というものだ。それ故に観る者の想像力でもかき立てることを意図したのであろうか。

色んなことに写真を使って挑戦している人だということがわかる。

常設展も観る。昔と展示内容がだいぶ変化している。私の好きな関根正三や村山槐多がなくなっている。一方で知らなかった大正期の作家(日本画、洋画、写真)の作品が展示されていて興味深い。より前衛的な作品が並んでいた。
戦争画のコーナーに小磯良平の立派な作品も展示されていた。宮本三郎とともに達者な画家だ。

松本竣介の作品もはじめて拝見するのが1枚に、それと同種の絵画(ともに、野田英夫に影響を受けたような作品)の2枚が展示されていた。
近代美術館の「近代」を強調している感じだ。

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