「平成28年 新作名刀展」 於刀剣博物館

今回は直刃の作品が目に付いた。大野義光氏のような大きく華やかな丁字刃は少なくなった感がある。丁字刃も少し小ずんだものが目に付く。時代の変化なのであろうか。
高松宮記念賞も森國利文(清廣)氏の作品も直刃の太刀である。このこともあって直刃が多いという印象を得たのかもしれない。ただし、森國氏の作品が特に印象的だったのではない。太刀で刃を下に展示している作品の為か、あるいは照明の関係かもしれないが見にくかった。刀の展示では刀剣博物館は見やすい展示をするが、今回は何か拝見しづらいものが多かった。

森國氏の経歴を存じ上げないが、私にとってははじめて伺うお名前である。同様に、日本美術刀剣保存協会会長賞も加藤政也(慎平)氏という、これまで存じ上げない方である。薫山賞は久保善博氏だが、寒山賞、優秀賞、努力賞を獲得された刀匠もお名前を存知上げておらず、若い力が伸びているのかなと思う。あるいは私が現代刀に関心が疎くなっているだけかもしれないが、いずれにしても若い人が目に付くのは良いことである。

今、展示目録を見ているが、無鑑査の鍛冶が12名、それ以外の鍛冶で、短刀・剣の部も含めて賞をとられている方が20名、そして入選者が18名である。総勢50名を分母にすると、無鑑査24%、賞が40%であり、頭でっかちの感がある。刀文協の新作刀展と分かれてしまった弊害であろうか。

無鑑査では吉原義人氏、吉原義一氏の刃は明るい丁字刃で、今回は同じような感じであった。義人氏の方が若々しくなったのであろうか。
月山貞利氏は刀身彫に目が行く。地をよく観ると家伝の綾杉肌だ。
大野義光氏の大房丁字は相変わらず際だって華やかである。「大野大房丁字」として個性が顕著である。
河内道雄(國平)氏は少しこずんだ丁字刃で変化があり面白い。今回の全作品の中で私の印象は一番強い。
宮入法廣氏はいつものように直刃である。地鉄が明るい感じも受けたが、この人の作品は小ぶりなものを多く観るが、もう少し身幅が広い作品も拝見してみたい。また刃も広直刃も観てみたい。

寒山賞の高見國一氏の作刀か、優秀賞のお一人の金田建吉(國真)氏の作品かが記憶の中では判別できないのだが、乱れ映りが目立つ、賑やかで細かい丁字刃で、ズブ焼きでできるような刃の作品も印象に残っている。

短刀に、末相州写しの皆焼刃があったり、冠落としの造り込みがあったりしたが、このような取り組みもおもしろい。

刀身彫の部の作品は、総じてちょっと賑やか過ぎる感じである。語弊があるのを承知で言うとうるさい感じも持つ。

彫金の部は、去年よりは良くなったと感じるが、今の時代に鐔を造る意義を見い出すのは難いだろうと思う。作刀技術は日本刀の形で遺しておきたい独特の技術だが、彫金の技術は鐔でなくとも残せると思う。明治の世になったら、夏雄だって別の分野で腕を振るったのである。ここに出品されている作家も、今の世に受け入れられるような彫金作品を作って、技能を残して欲しいと思う。
あくまで伝統を守るというのも一つだが、伝統とは残すに価するものを残し、変えるべきところは時代に合わせて変えることだと思う。他分野にも進出して、素晴らしい作品を造って欲しいと思う。

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