「戦国のゲルニカ」 渡辺武 著

副題は「「大坂夏の陣図屏風」の読み解き」であり、有名な屏風絵である。この屏風は黒田家に伝来したもので、戦闘状況の絵だけではなく、その後に起きた敗残兵狩り、虐殺、人さらい、婦女暴行、追いはぎなどの様子まで描いていて、特異である。それでピカソのゲルニカに例えられているのだろう。

この本では屏風絵の部分ごとに説明をしてくれており、場面ごとの解説はわかりやすい。ただし、肝心の絵が本文中は黒白写真であって鮮明ではないのが残念である。口絵には原色の屏風絵があるのだが、それは小さくて、識別しにくい。

この屏風の絵は、細かい絵で描写は迫真的であり、作者を岩佐又兵衛(荒木村重の子で、浮世絵の祖)か、それに関係する絵師ではないかという説もあるようだ。(黒田家の伝承であり、そこにおける絵師名はわかっている)

描写は迫真的と言っても、昔の屏風絵であり、金の雲で省略しているところもある。省略というより、それで場面転換を巧みに行っているとも言える。

虐殺などのひどい状況が描かれているが、戦争であれば、いつの時代の、どのような民族でも、どのような場所でも起こりうるようなことだが、このような場面を多く描いているのは、やはり発注者の意図や絵師の意図があったものと考えられる。

大坂の陣の時は、豊臣方は金を使って浪人を集める。この時には禁令とされたキリシタンを信仰する浪人なども集まっており、落ち武者狩りに同情が無かったという本も読んだことがある。一向一揆の皆殺しと同じ発想だ。

この絵は黒田家に伝わったのだが、そこに入るまでの伝来にはいくつかの説があるようだ。確かな証拠は無いが興味深い説もある。

後の世になるが、寛文時代に淀川の川浚えをすると、落ち武者の大判、竹流し金などが見つかったようだ。今の技術で改めて浚えば、今でも川底に宝が眠っている可能性もある。


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