「はじまり、美の饗宴展 すばらしき大原美術館コレクション」 於国立新美術館

見応えのある展覧会であった。これは、もちろん大原美術館そのもの質が高いことから生まれてくる。実業家の大原孫三郎と、大原總一郞がパトロンとして尽力をした結果である。金など残す人間はいくらでもいるが、このような美術品を残すのは、結果として名も残る。

大原美術館は時代とともに生きてきたということから、時系列で展示してある。
私が特に良かったと感動したのは、モディリアーニ、マティス、ピカソ、関根正二、熊谷守一、ピカソ、国吉康雄、フォンタナの展示作品である。また民芸の諸作家については、今回の展示で認識を新たにさせていただいた。
以下は展示の流れに沿って感想を述べていきたい。

はじめに「古代への憧憬」として、非常に古い時代のエジプト美術、イラン美術、イラク美術、中国古代美術の作品展示である。中国の唐の灰陶加彩胡人像は生き生きして見事である。また唐の灰陶加彩女子騎馬俑も、溌剌として女性の騎乗姿である。国際都市長安の時代はタイムスリップしてみたい。

次ぎに「西洋の近代美術」として、エル・グレコの「受胎告知」が目に飛び込んでくる。有名な作品だが、画題がキリスト教で、描かれた女性(マリア)の手指の表情はあまり私は好みでない。
このコーナーは名品揃いで、マネの「薄布のある帽子の女」、これは下半部分はどうなっているのだろうか。
セザンヌの塗り残したような画面が目に付く「風景」、セザンヌは、このような手を抜いたような絵でも「いいな」と感じる。
ゴーギャンの「かぐわしき大地」も有名な絵だが、ゴーギャンの色、画題など私はピンとこない。
モローの「雅歌」はモローらしい絵で小品で水彩とのことだ。
ドガの描きこんだ「赤い衣装をつけた三人の踊り子」は、丁寧に描いている分、それほど軽快に踊ってはいない。
ロートレックの「マルトx夫人ーボルドー」もいつものロートレックよりもアカディミックな感じだ。その分、デザイン的ではないのでロートレックらしさがないが、品の良い絵である。
モネの「睡蓮」、モネの睡蓮は世の中にたくさんあるが、しっかり描けていて遠近感、光のかげろいなども良い睡蓮である。
ルノアールの「泉による女」はルノアールらしいボヤッとして明るい(血色の良い)女性だ。誰もが好きになる絵だ。
キリコの「ヘクトールとアンドロマケーの別れ」も有名な絵だ。不思議な絵で、こういう絵を自宅に飾って長く眺めていると、どんな感じを持つのかなどと思った。
マティスの「マティス嬢の肖像」も私が好きな絵だ。平面的な感じだが、強烈だ。
モディリアーニの「ジャンヌ・エピュテルヌの肖像」は良い絵だ。色もオレンジ色が印象的で、背景の補色によって色の鮮やかさが際立っている。女性は魅力的だ。顔は一般的な美人ではないが、輪郭のモディリアニらしいゆがみが何となくはかなさを感じさせる。

「日本の近代洋画」も名作揃いである。美術の教科書に出てくる絵ばかりだ。
青木繁の「男の顔」、迫力があり天才だ。
大原美術館を大原孫三郎と一緒に充実させた児島虎次郞の「和服を着たベルギーの少女」も児島なりに日本と西洋を結びつけようとした明るい、意欲作だ。
萬鉄五郎の「雲のある自画像」。この人の絵は存在感がある。色にも秘密があるのかもしれない。
関根正二の「信仰の悲しみ」、ここに並んでいる大家と比較して技術的には上手でないと思うが、胸を打つ。私は関根が好きである。
小出楢重の「Nの家族」、迫力があり、作者はどういう人なのかと興味を改めて持つ。
中村彝の「頭蓋骨を持てる自画像」も有名な絵だ。エルグレコとも似ていると思った。
岸田劉生の「童女舞姿」、麗子像の一つだが、大きい絵で、着物も赤く、舞姿で、その分深遠さは欠けると感じるがなんと言っても劉生だ。
佐伯祐三の「広告”ヴェルダン”」は佐伯らしい絵だ。
今回、私の心に響いた絵の一枚が熊谷守一の「陽の死んだ日」だ。晩年の貼り絵のような絵(これもいい)が印象的な画家だが、お嬢さんが亡くなった時に死に顔を画いたもので心を打つ。
安井曾太郎の「外房風景」、妻の実家が安房鴨川であり、妻と「外房の色」だと述べる。陰影で明るさを強調している。
梅原龍三郎の「竹窓裸婦」、緑の色が塗られた裸婦で、こういうのも梅原は画くのかと驚く。

次が「民芸運動ゆかりの作家たち」のコーナーだ。棟方志功、芹沢銈介、バーナード・リーチ、浜田庄司、河井寛次郎、富本憲吉などだが、民芸運動を見直した。個別には評じないが、巷に売りに出てくる彼らの作品とはまったく質の違うもので感心した。

「戦中期の美術」が素晴らしい。松本竣介の「都会」も印象的だが、国吉康雄の「飛び上がろうとする頭のない馬」は実に悲しい絵で素晴らしい。
ピカソの「頭蓋骨のある静物」も実に力強い作品で大好きだ。

「戦後の美術」では私はフォンタナの画面を切り裂く絵が好きだ。ここにも「空間概念 期待」のタイトルで素晴らしい作品が出されていた。

「21世紀へ」は現代作家の作品だ。大画面の作品が並ぶが、画家本人が大画面で描きたいと思って画いている作品ばかりでないように感じる。将来は玉石混淆になっても時代とともに生きる大原美術館はこのような画家も支援するのだ。

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