「世界史の叡智 勇気、寛容、先見性の51人に学ぶ」 木村凌二 著 

著者は古代ローマ史の学者であるが、古代から現代まで、地域も世界中から、そして職業も様々な分野から51人を選び出し、簡単に評伝を書き、現代に起こっていることに関連させて紹介している。

取り上げた人の逸話も一人につき、新書で3.5頁くらいであり、元は産経新聞の朝刊のコラム「世界史の遺風」に連載したものである。だから読みやすいが、あまり頭に入らない。「こんな人物がいたんだ」という驚きや、名前だけは知っていたが事績はよく知らなかった人物など、それなりに興味深い。

51人の中にダービー卿などもおり、競馬に関する話題もあったが、著者紹介のところに『馬の世界史』を上梓したのが著者だと知り、納得した。

ローマの大カトーのところに、ローマ人の子弟教育は「父祖の遺風」で教えたとある。具体的な内容は記されていないが、なんとなく現実的なローマ人らしいと思った。

アル・カミールとはエジプト・シリアを支配したアイユーブ朝の第5代のスルタンで、日本の鎌倉時代初期の王だが、十字軍と交渉して、10年間の休戦協定を結んで、聖地エルサレムをキリスト教側に引き渡したようだが、このような休戦は、互いに非武装とかではなく、拮抗する軍事力があったからと分析している。

ラス・カサスとはスペインのカトリックの司祭で、新世界でのスペインの暴政を救う運動をした人物のようだ。これもはじめて知る。当時はインカの人々は粗野な野蛮人であり、自然な奴隷とみなす空気が圧倒的だった。

清の康煕帝は16歳の時に権力者の大臣を粛正した。外征だけでなく外交にも尽力をしてネルチンスク条約などを結ぶ。ここに中国人は古来から「大は善なり」という意識が強かったことが記されている。

フランス革命の時に王妃マリーアントワネットの半月後に処刑された女性にオランプ・ド・グージュがいる。彼女はサロンで劇作家として女権の拡充を唱えていたようだ。

林則徐はアヘン戦争を引き起こすことになったアヘン摘発をやった官僚である。民情にも通じた役人で、戦争前から中国の軍備の不備に問題意識を持っていた。戦争後に責任をとらされるが、太平天国の乱の時に呼び戻される。

オスマンは今のパリの都市景観を造り上げたフランスの行政官である。ナポレオン三世の元で活躍する。

カブールはイタリア王国の最初の首相であり、教育、郵政、鉄道事業なども担当して、イタリアの近代化に資する施策を実施した。サルディーニヤ王国主導で統一を果たす。

スティーブン・ダグラスはリンカーンと大統領を争った政治家である。住民主権を唱え、リンカーンと違って小身だが小さな巨人と評価されている。

クルティウスは、ベルリンの考古学者で、古代ギリシャのオリンピアの発掘などに尽力をして、近代オリンピックの構想に大きく貢献した。今はクーベルタン男爵の方が有名だが。

鉄鋼王のカーネギーはスコットランド人だった。貧しい中、電信技術を身につけ、そこから南北戦争の時に軍事物資の供給システム、終戦後は旅客用の寝台車。それから鉄鋼業を起こす。「富裕のままで死ぬ者は、不名誉なままで死ぬことになる」と語り、晩年には慈善事業に情熱を注ぐ。

山田わかは、明治の後年にアメリカに行けばと欺されて娼館に売られ、その後、社会学者の山田嘉吉と結婚し、日本に帰国後は平塚らいてうの青鞜社で母性尊重を訴える。






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