「うつくしく、やさしく、おろかなりー私の惚れた「江戸」」 杉浦日向子 著

江戸が好きだった漫画家で、エッセイストの杉浦日向子の作品である。江戸に対する愛情が溢れていて面白い本である。講演会や、本の書評、雑誌へ寄せた一文などをまとめた本である。

江戸情緒の豊富な岡本綺堂の小説(半七捕物帳など)を推奨している。
江戸人の好んだ自嘲「人間一生糞袋」を紹介しているが、確かにこういう面はある。無名で、偉そうに人生を語らず、自我も出さず、出世も望まない、今、生きているから、とりあえず死ぬまで生きるというような生き方である。
「其日、そのひの風次第 ウソもマコトも義理もなし」という江戸で流行した端唄も紹介している。

粋は低出力の美学というのも面白い。素顔に渋好みの衣料の美とも言う。実用外の贅沢、日常に役に立たない暇つぶし、何の役にも立たない座興におぼれて消費するのが、粋な人の生き方。

色、愛、恋の中では江戸では色が高級で、色には駆け引きが必要だった、そして臨機応変で愛の束縛願望も、恋の生殖願望も無いと書く。

粋(すい)は上方で、はっきりした色、柄をさす。粋(いき)は江戸では渋めの基調で黒がとどめの色という。次いで雀の羽色。
ただ遊女にもてたのは粋な人でもなく、誠実な人というのも面白い。

男の髪は男が結い、女の髪は女が結うのが基本で、特に女は自分で髪を結うのが贅沢ではない暮らし。

江戸の育児は長屋じゅうの人が世話を焼いた。子は十年の預かりもの。九つまではつが付く。数えで十歳が奉公の目安の歳。寺子屋での手習いは町人は草書。武士が楷書までならうという。
当然だが女性はみんな働く(高級武士の妻や大店の奥さん以外)。三行半は奥さんが再婚の為に旦那に書かせる。
間男は五両で許してもらうのが江戸の相場。

江戸の人間は「酒の上のことは守る」のが鉄則。酒の下などの泥酔はダメ。酒の上は本音。本音の約束は守るということ。

径は小道、条も細長い小道だけど整備されている。小路、筋もある。道は公的な道との違いがあるという。径に近いのが路地。そして江戸の道は非常時以外に走ることは禁じられていた。木戸があって夜の10時には閉じられる。

江戸は男が多い世界。それも単身者が多い。だから外食産業が発達する。屋台で食べるのが一般的。それぞれ単品だった。ソバなら蕎麦屋、ウナギなら鰻屋ということ。
ソバなどは野田や銚子の近郊で醤油ができてから発達。天明以降か。カレーライスのような飯に汁をかけるどんぶり飯が多かった。



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