「旗本・御家人の就職事情」 山本英貴 著

読み難い本で、内容もかなり専門的である。江戸幕府の五代から一二代頃の幕府の人事制度の研究書である。御家人の家格の違いなども理解していないと、読んでも理解できない。
吉宗の代に御家人、定信の時代に旗本に関する人事制度の変更がある。吉宗の代に御家人の中でも格が高い譜代に、その下の抱席という身分の御家人が昇格するのを制限し、一方で家格の高い譜代の者が下の家格の抱席の者の役職に就くのを許可した。

定信の時には、御家人の中の家格が高い譜代が旗本に昇進するのを制限し、一方で旗本には御家人の譜代がつく職に就くのを認めている。常に上位の家格を優遇している。これは上位の者に職に就けない者がいたからである。

このような制度変更の背景に、幕府では養子に入った綱吉、家宣、吉宗の各将軍が、宗家に入る時に、それぞれの家臣団を連れて幕臣に登用したことで、幕臣が多くなり、職に就くのが難しいという状況になっていった為である。

このように、家格上昇につながる役職就任は厳しくなるが、御家人から旗本、あるいは御家人の中の家格上昇のように、下位から上へ昇進する可能性は残している。これは全ての階層の幕臣にやる気を出してもらう為である。

そして役に就く時には由緒書が大事であった。本人だけでなく先祖の働きが大事ということで、自分の子や孫の為にしっかり働くことを求めたわけである。職に就いたあとは本人の能力が大事となる。

甲府勤番などになると出世ルートから外れることになる。こうした者が金山開発で事件を起こした事例を紹介している。当初は幕府に利益があるかと考え、黙認し、それで支障が出れば処罰するようなのが幕府である。

田沼時代は、幕府の為になるという政策を立案して、実現されると積極的に出世をさせた時代である。

甲府勤番の堀内氏有の詐欺事件(出生ルートを外れた甲府勤番の者が金山開発を材料に詐欺を働いた事件)や、森山孝盛(松平定信が信頼した旗本で、学があり、小普請組頭を務めていた時に、自ら組付きの小普請たちに書類の指導・代筆などを行い、学が無く、家計難の小普請者に喜ばれる)のことを具体的に紹介している。


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