「謎解き浮世絵叢書 歌川広重 富士三十六景」

広重の最晩年の作品である「富士三十六景」の一枚ずつについて解説したものである。なお作品は町田市立国際版画美術館所蔵品を採用している。このシリーズは、初摺りがどのようなものと定義されていないようだが、早い時期の摺りの良い作品であることは確かである。今はどの本もそうだが、印刷もきれいである。

謎解きとして、絵によっては、絵の中の細かいところに注目して、これはこういうことだとの解説もあり、それなりに勉強になる。こういうのは、絵そのものを目の前にしないと解説もしにくい。

私は「富士三十六景」では「武蔵小金井」を所持している。小金井堤の桜並木における桜の古木で、空(うろ)が開いていて、その空(うろ)を通して富士山が見えるという奇想の絵であるが、なかなか面白い。この本でも、「『富士三十六景』のなかでも高く評価されている作品です」と記して、このシリーズの傑作の1枚としている。

最近もう一枚購入したが、これは「さがみ川」である。これも相模川に筏を浮かべて、その上で火を熾して、そこから煙が立ち上っている。船頭は後ろ向きに筏を操っている。遠景に大きく富士山と、その手前に大山を書いているものだ。前景には鷺が飛んで、相模川には芦が生えている。
ゴッホが「タンギー爺さん」の絵の背景にも書き込んでいることで名高い。これも「後ろ向きの筏師や細く立ち上る煙による静寂さの表現は広重の独擅場で『富士三十六景』を代表する一図といってよいでしょう。」と評価している。

「富士三十六景」は、広重の死後に出版されたもので、絵はもちろん広重だが、版木が出来てからの色の指定までは急死した為に広重が行わなかったのではとされて、あまり人気は高くない。だから価格も今は安い。だけど以上のように面白い絵もあり、これから評価されていくのだと思う。




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