「数字と図表で読み解く徳川幕府の実力と統治のしくみ」 蒲生眞紗雄 著

この本は、徳川幕府のことを、数値化、図表化してまとめている。断片的に知っていることだが、改めて、この本で認識を新たにした点もある。
徳川幕府の御三家、御三卿の仕組み、親藩、譜代、外様の大名の区分と実態、それに応じた江戸城での詰め間なども書かれている。他の本でも読んだことはあるが、この本にも書かれている一橋家の二代目の一橋治済(はるさだ)は興味深い人物である。十一代将軍家斉の実父でもある。息子を将軍にするまでは田沼意次の力を利用し、それから徐々に田沼から離れていき、今度は御三家とともに松平定信の擁立をはかっていく。そして後には松平定信を除くように動いていく人物である。この人も、将軍を含めて九男四女の子供をもうけているが、子の十一代家斉は五十五人もの子供をもうけている。これらの多くは各地の大名の養子となっており、結果として、この人物の血が、養子に入った各大名家にも入ったわけである。
ただし、権謀術数にたけた人物というだけでなく、一橋家の改革にも努め、凡庸な大名ではなかったようだ。普通の日本史には出てこない人物であるが、面白い人物である。

徳川幕府の旗本、御家人の数、それの石高別の分布、徳川幕府の役職の種類と、それぞれの役職手当、無役の人(大身旗本は寄合、他は小普請)の数とか、幕府役人への昇進ルートや、それぞれのルートで昇進した人物の事例などを書いている。
徳川幕府は、過剰な人員を抱えた会社でもあったわけで、そういうことで同じ役職を2人で担当したり、過剰な分、御家人の禄は低くなり、御家人が内職に励むというような状況が生まれたのかもしれない。

将軍ごとに、その将軍の幕閣となった人物なども整理している。そして、出世してきた道筋、失脚していった経緯なども簡単に紹介されている。

江戸時代の御家騒動、それをパターン化しての提示などもある。そのパターンとは、家臣間の主導権争い、藩主と重臣の対立、家督相続の争い(愛妾の子、養子)などである。家臣間の主導権争いは、江戸時代前期は藩体制の確立にからんで、重臣間の争い、藩主一門の中の争いが多いが、江戸の後半は藩財政の建て直しにおける門閥家臣と抜擢された家臣との争いが多くなる。幕末になると佐幕開国と尊皇攘夷にからんだ争いとなる。


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