「辻惟雄×村上隆 熱闘!日本美術史」 辻惟雄、村上隆著

この本は『奇想の系譜』で日本ではあまり顧みられなかった画家を取り上げた美術史家:辻惟雄が、日本美術史の中から気になる作品を紹介し、その作品に対して、現代美術の雄:村上隆がオリジナルな作品を作り上げるということを、21回に渡って、「芸術新潮」の誌上で行った結果を本にしたものである。

辻氏が取り上げる作品は、奇想の画家に造詣が深いだけあって、当方が知らない作品も多い。その意味で興味深い。そして、それに答える村上隆の作品や、その作品に籠めた意味を語った文章も面白い。

取り上げた作品は狩野永徳の唐獅子(これは有名だ)、伊藤若冲のマス目の象などの屏風(これも最近は有名)、葛飾北斎の春画(初めて知る画)、伊藤若冲の象と鯨の白黒屏風(面白い)、曾我蕭白の雲龍図屏風(大迫力)、白隠の達磨(何枚もあるようだが、有名)、民俗風習の男根・女陰(辻氏はセクシュアルなものを出す)、落合左平次の鳥居強右衛門の逆さ磔の旗(鳥居の磔姿を指物にしたもの)、井上有一の書、荒川修作の作品、インドの女神(非常にセクシー)、インドのリンガ(男根の像)、赤塚不二夫の漫画、長沢芦雪の虎図襖絵(大迫力で少しかわいい虎)、長沢蘆雪の五百羅漢、北斎の諸国名橋奇覧、中国の逸品画風(唐末に中国で流行った即興の絵、書、今の即興絵画の先駆け)、狩野一信の五百羅漢(なかなか凄みがある)、中国の羅漢図、羅漢図と震災図である。

辻氏が狩野永徳の唐獅子を一番はじめに取り上げたのは、『本朝画史』内において、永徳の絵を「恠々奇々(カイカイキキ)」(ちょっと怪しく、だけど魅了されるというような意味)と評し、そのカイカイキキを村上隆が自分の工房の名に使っているからのようだ。

また辻氏は、羅漢を多く取り上げているが、この結果、村上隆は100㍍の大作品を作り上げ、カタールで展示している。
落合左平次の鳥居強右衛門の逆さ磔は、村上隆が鳥居強右衛門に扮して、逆さ磔にされたところを写真に撮って作品としているが、刺激的だ。
インドの女神では、同様なポーズ、衣装(要は裸体に近い衣装)で性転換した女性を撮り、その女神に足で踏みつけられているところに村上隆もいるような写真であり、面白い。
白隠の達磨を村上が2点画いているが、迫真的だ。
また曾我蕭白の雲龍図屏風に対抗して画いた赤い龍は素晴らしい。

メチャクチャな感じの本だが、面白い本だった。


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