カンボジア旅行④-遺跡の彫刻-

遺跡には石を積み上げただけで何の彫刻も無いところもあるが、多くの遺跡には回廊の壁、門の上部、両脇の門柱、塔の壁面などにレリーフ(浮き彫り)がある。
印象的なのはアンコール・トムの中心施設バイヨン寺院にある塔の四面に彫られている仏頭(実は観世音菩薩ではなくヒンドゥ教の神のようだ)である。大小16の四面仏塔があるが、仏塔の像は大きくて、その微笑みの表情が何とも言えない。これが間近に観られ、有名な撮影スポットのある上部テラスと中央祠堂は観光客が非常に多く、スムーズに歩けないほどであった。御顔の表情は、どれも同じに見え、雨風等による保存状態の違いだけかなとも思うが、粗見かもしれない。私達2人に専用のガイド、運転手という旅だったが、観光であり、また大変な混雑で写真待ちの人々が連なる状況では、じっくりと説明を求め、鑑賞するというのはできないのが現実だ。

彫技そのものでは、バンテアイ・スレイの彫りが素晴らしい。ここはやや堅めの赤色砂岩に彫られている為が、彫りがシャープである。そして岩が硬い為か保存もよい。また彫った彫師も優れていたのあろう。細かく丁寧で美しい。ここに東洋のモナリザと称されたデヴァターの像もある。今では近くに寄れないようになっているのは残念だ。なお、所々に周囲の山野を野焼きをした時の煤の跡などが残っている。

彫りものの図柄・内容は、限定されていて豊富ではないと言い切って良いのかは自信がないが、そう感じた。
ヒンドゥ教の神々は、「竹が画いてあるから虎だろう。牡丹があれば猫だろう」式に、シバ神は三つ目を持ち、ほら貝とか三叉戟を持ち、ナンディン(雄牛神)に乗る像、ビシュヌ神は棍棒、輪宝を持ち、ガルーダ(鷲神)に乗る像、ブラフマー神は水差し、弓を持ち、ハンサという鵞鳥神に乗るという感じである。
またラーマヤナの物語や、ヒンドゥ教の天地創造神話の乳海攪拌の話、マハーバーラタの話などが多くある。
女神のデヴァター像や天女のアプサラスの像も官能的で魅力的だが、どれも同じような感じである。入口にあるナーガ(コブラのような蛇神)、シンハ(獅子で日本の狛犬)も同様だ。

題材が限定されているのは宗教がらみであれば日本でも他の国でも同様である。ただ、日本では同じ像でも運慶のは力があるとか、定朝のはどうだとかの感想を持つが、カンボジアの観光の中ではどれも同じように感じる。

アンコール国立博物館にも妻と2人で出向くが、保存の良いものが間近で拝見できるという良さはあるが、作風の違いは時代の差で説明されていた。簡単に言うと王朝の全盛期の作品が良いということだ。

壁画のレリーフではアンコール・ワットの壁画が画面も大きくてわかりやすく、面白い。南側の壁の「天国と地獄」の図、特に地獄の図が怖くて興味深く、もう少しゆっくりと見て廻りたいと思った。また偉大なる王(スールヤバルマンⅡ世)の物語も当時の人びとの姿がわかり楽しい。東側の乳海攪拌は神々と阿修羅が綱(実は蛇=ナーガの胴体)を引いている図だが、神々側に一人阿修羅がいるのは何なのかと疑問に持った。

アンコール・トムのバイヨンでは壁画も同様に画面が大きくて面白い。チャンパ軍との戦いの模様などであり、当時の衣装などもわかり面白い。

このような回廊は長く続いているから、アンコールワットやアンコールトムの上下も広がる大きな絵をじっくり楽しむには、こういう観光では難しい。

アンコールのレリーフは、平安末期から鎌倉時代初期に該当するが、同じ頃の日本では平等院の定朝の仏像がある。また平等院中堂の長押上の壁を飾る浮き彫りの雲中供養菩薩像などは、このアプラサス(乳海攪拌で生まれた天女)像と同じ発想で、作の質は高いと思う。
次いで運慶・快慶・湛慶が素晴らしい木造の仏像を作っている。改めて日本の凄さを感じる。


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