「赤瀬川原平の芸術原論展」 於千葉市美術館

この展覧会は、チケットをいただいたから出向いたのだが、なかなかに面白い展覧会であり、妻と楽しんだ。赤瀬川原平は画家であるが、尾辻克彦のペンネームで芥川賞を取っている。この人の本は面白く、美術に関する本は視点がハッとされ、大変に参考になる。例えば浮世絵でも『広重ベスト百景』は私の愛読書である。このブログでも次の本を紹介している。
山下裕二氏との共著『日本美術応援団』(http://mirakudokuraku.at.webry.info/200709/article_10.html
『日本男児』(http://mirakudokuraku.at.webry.info/200812/article_4.html
『赤瀬川原平のブータン目撃』(http://mirakudokuraku.at.webry.info/200803/article_3.html

赤瀬川原平は、ネオ・ダダ運動(1960年代にアメリカをはじめ世界的に広がった反芸術運動で、工業製品や、その廃品などを利用して作品をつくるようなことをする)に篠原有司男(ボクシング・ペインティング)、高松次郎などと参加。赤瀬川は、モノを梱包するような作品やゴムを使った作品を発表している。ネオダダ運動に参加した芸術家は、人並み以上に独創性、悪く言うと自己顕示が強かったのだと思う。ある種の芸術家には大事な要素だと思う。

その芸術活動の中で千円札を模造したことで、通貨偽造で訴えられ、裁判を受ける。その裁判の中で支援者も「現代美術とは何か」の論を展開することになる。

その後、漫画家として、ガロや朝日ジャーナルなどに連載する。この漫画の絵はパロディなのだが、細かい線で絵を描き上げ、大したものである。朝日ジャーナルに連載した「櫻画報」で、朝日ジャーナルは「櫻画報」の包み紙だとして、アサヒをパロディ化したため、朝日ジャーナルの自主回収騒ぎを起こしている。

語弊があるかもしれないが、千円札で国家に反逆し、漫画「櫻画報」で朝日新聞を敵にまわし、見事なネオ・ダダぶりである。

このあたりから小説を書きはじめ、尾辻克彦として芥川賞をとる。近年では『老人力』を書き、老人力という言葉を世の中に広く認知させており、すぐれた着眼点を持っている。

赤瀬川は、文章も絵も観察力が基本にあるから、違うのだろうと思う。

それから路上観察として、路上の面白いものを見つけ、発表するような活動をしている。「超芸術トマソン」(当時、巨人に入団したが三振が多く役に立たなかった打者の名前から、路上のそのようなものという意味)を見つけ発表する。
路上観察の切り取り手段としてのカメラとしてライカを愛好し、ライカ同盟としてライカ愛好者と一緒に写真を発表する。ちなみに若い頃はマッチ箱のラベルなどを蒐集していたようだ。

路上観察も赤瀬川の観察力の現れであり、これで日本社会に新しい視点を与えた人物だと思う。

今回、経歴を調べる中で、兄は直木賞作家の赤瀬川隼、姉の赤瀬川晴子は帽子作家ということを知る。


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