「赤絵の桜 損料屋喜八郎始末控え 」 山本一力 著

山本一力の短編集である。損両屋とは、今で言うところのレンタル業のようなものである。鍋、釜などを何日間貸し出す商売とのことだ。江戸時代にも、このような商売があったのをこの本で知る。
この商売を営みながら、町の情報を集め、ある札差などの為になるように動くという喜八郎という人物が主人公である。

この本は、損料屋喜八郎シリーズの続編のようで、そちらをまず読んでからの方が、理解が深まると思う。私は、この本から読んだから、当初は「ほぐし窯」「赤絵の桜」が、同じ話の続きと思ったものである。その後の各短編は違う話なので、場面転換の落差に戸惑ってしまった。

同じ主人公のもとでの、いくつかの話を短編にしてまとめた本ということだ。この短編集には「ほぐし窯」「赤絵の桜」「枯れ茶のつる」「逃げ水」「初雪だるま」が収められている。

「ほぐし窯」と「赤絵の桜」は続きもののような短編集で、内容は押上村に作られた大規模な湯屋に大金を用立てた札差が、それが単なる湯屋ではなく、その窯の一部で焼き物の修繕のようなことを行う窯が作られて、それを悪用した事件が巧まれていたことを描く。

「枯れ茶のつる」も、上記の事件がきっかけとなって、喜八郎の配下と暮らしはじめた娘が、仕事をはじめ、苦労しながらも、人情に助けられていく物語である。

「逃げ水」は、札差と損料屋の喜八郎がともに大がかりの詐欺に遭う話で、前作を読んでないとよく理解できない物語である。

「初雪だるま」は、喜八郎と恋仲の料理屋江戸屋の女将:秀弥を結婚させようとする楽しい企てを、配下の者や、懇意の札差がたくらむ話である。人情ものである。べたべたしない恋愛である。


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