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zoom RSS 「清麿展」 於根津美術館 スライドレクチャー 藤代興里氏

<<   作成日時 : 2014/03/28 18:11   >>

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清麿展に出向くが、清麿の刀が観たいわけではなく、ここで藤代興里氏がスライドレクチャーをするということで、それを聴きに行く。しかし、せっかく展覧会を観たわけであり、清麿についての感想も記しておきたい。私は清麿の魅力として、姿の良さに言及しないのは片手落ちと思う。刀では大切っ先を備えた豪刀を美しく造り、脇差では菖蒲造りが実に魅力的である。巷では鎬造りの脇差よりも菖蒲造りの脇差が人気が無く、安価であるが、清麿に限っては菖蒲造りの方が脇差らしくて良いと思う。
なお清麿展の副題が「幕末の志士を魅了した名工」とあるが、観客集めのキャッチコピーということでいいのだろうが、清麿と言えば、パトロンの窪田清音は幕臣である。齋藤昌麿や長州の所持者も志士というより名士だと思うのだが。(翌朝、改めて展覧会のチラシを見ると、Master Swordsmith to the Last Samuraiとあるではないか。「ラスト サムライへの名刀匠」となると商業主義もここまで来たかと思う)

さて、藤代氏のスライドを使ったレクチャーのことである。刀剣愛好家よりも一般の方が多く聴講されている。そこで、刀の刃紋というのはどうすれば見えるのかというところから説明される。光源を当て、その周りだけが刃紋が見えるということから説明される。刀剣愛好家であれば光源に刀をかざして、順次、刀の位置をずらしながら刃紋を見ていくのは常識なのだが、普通の人は、ここから教えてもらわないとわからないと思う。

清麿の兄:真雄が学んだ浜部一門の刃文、それから兄と造った浜部風の初期作、そして清麿と、弟子の信秀などの刃紋をまず紹介する。清麿は初期作からの作風の変化が早いと述べられる。

清麿の年代別の刃紋を、藤代氏独特の鮮明な刃紋を並べてスライドで見せていただく。このように見せると、一般の人は、このような刃紋の写真はすぐに撮れると思うだろうが、これは藤代氏のノウハウだ。

ここで私が勉強jになったのは、清麿は本三枚鍛を行っていた為に、刃部においても、地鉄の感度が違う為に、その断層に沿って刃紋において筋状のものが現れ、その下部の刃紋は細かい刃紋、その上部は大まかな刃紋に分かれるということだ。この断層部の筋状の刃は砂流しや金筋とは違うとのこと。もちろん、湯走りとも違うのだろう。刃部の方は刃こぼれがしにくい、少し柔らかめの鉄、地に近い方の鉄は少し堅めの鉄となるのだろう。刃取りの土置きは同じでも、そのように鉄の感度が違うから、断層状のものが現れ、刃紋の形状も上下と違うというわけだ。

私も長年、刀剣趣味を続けているが、本三枚鍛えが刃部に現れた刃紋の変化となって現れるということははじめて知る。藤代氏に後でお電話すると「常識でしょう」と言われたが、こんなことは刀剣書には出ていない。『日本刀工辞典 古刀篇』の「長谷部国重」に記されているのではと教えられるが、ここには「刃に沿って長く断層が見られる、刃鉄と地鉄が異なった感度によって生ずる」と記されているのみで、本三枚鍛えのことは書かれていない。
(ちなみに、美術館の中2階で、日本刀が出来るまでの映像が流されていた。現代の備前伝刀匠が刀を打ち上げるまでの工程がコンパクトにまとめられている。ここでは本三枚鍛えではなく甲伏せ鍛えであった)


また説明の中で、藤代氏も「刃紋の特徴を刃全体にわたって覚えるのは難しく、特徴的なところを10p程度覚える」と言われたのには救われる。私などは「いい刀、素晴らしい出来」などの印象は持つが、具体的な刃紋の形状となると、思い出せないことばかりだ。

研ぎのことも、藤代龍哉氏が実演(頭にウエブカメラを付けての実演)しながら教えてもらう。「なるほど」と思ったこともある。砥石における内曇砥の使用など、いつの時代からかはまだ不明のようだ。

ある人が藤代氏に「研師は研げば、真偽がわかるのか」と質問したが、「真偽は銘が最終的な判断。その銘の資料に関しては、藤代の家は自分で三代にわたっているから、刀工ごとに非常に多くの資料(押形のことだと思う)がある」と述べられていた。

根津美術館は場所がいいから、一般客(刀剣愛好家らしからぬ人と言う意味)も結構いる。同時開催の展示も「神護寺経」という地味なものや、季節外れになった「旧竹田宮家の雛人形と雛道具」、それに「花時の茶事」として、今の季節らしい茶道具の取り合わせ展、それに常設の中国青銅器などであり、客が集まるものではないが大したものである。

中国の青銅器は凄いものだと思う。中国政府は尖閣諸島などよりも、この根津の青銅器コレクションを買い戻すことに注力した方がいいと思うほどだ。

ここは庭も素晴らしいが、今の時期は花がヤブ椿くらいで、寂しい時期だ。しかし、芽生えの新芽がいくつか見つけることができた。天気の良い日であった。

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