シンワアートオークション「日本刀」10.26下見会

昨日の下見会初日は比較的多くの人出があったようだが、今日は来場者は少なかった。ショーケースの中に陳列されているが、申し出ると手に取って拝見できる。葵美術さんがお手伝いされており、関与されているようだ。

水神切り兼光は、平造りで、2尺以上と寸が延び、反りも強い。重ねが非常に薄く、変わった造り込みである。地鉄は地景がばりばり、ウネウネと入っている。刃は明るく、直ぐ調に小足が入り、肩落ち加減の互の目が入るものである。私の兼光と地鉄、刃紋は似ている。映りは私のは乱れ映りと牡丹映りであるが、棒映りに近い感じである。彫りも刀身にふさわしいデザインで、研ぎ減ったところはなく、鏨が立っている。変わった造り込みであり、使用されることなく重宝として保管されて来たためか、非常に健全なものだ。

波泳ぎ兼光は、体配は大鋒で身幅もある大磨上げである。重ねは厚めでしっかりしている。私の兼光と同様である。地鉄の感度は水神切りの方がいい感じ。乱れ映りである。その地鉄のせいか、刃は沈み心である。小沸出来で、いかにも相伝備前である。いかにも兼光らしい御刀である。大きなのたれ刃で、のたれの山に小足等の働きがある。大鋒のこのような豪快な形状には、このような刃紋がいいと言う人もいるだろう。また、この体配に合った倶利伽羅の彫りがある。刀身にマッチしている。なんといっても名物である。

今回は、有名な兼光2振りを拝見して、兼光の彫りを改めて評価しないといけないと感じた。彫りは父の景光の方が高評価だが、長大な刀身にふさわしいデザインで彫った兼光は素晴らしい。刀身彫りは刀身にふさわしいことが大事なのだ。

二王清綱在銘の重美である。美しい地鉄である。刃は直刃調に小乱れの刃で、細かく働いている。良い御刀でさすがに重美である。刀剣博物館の短刀を観たばかりであり、刃紋が地味に感じられるが、これが二王らしい刃で、いずれにしても上手な鍛冶である。

無銘の吉岡一文字の重要美術品は、私が一番欲しいと思った御刀である。焼きの高い細かい丁字刃で、うるんだところもなく見事である。逆がかるところもあり、典型的な吉岡一文字である。猪首切っ先も豪快で、手持ちも非常に重く、健全である。地鉄も良い備前の地金である。

無銘の直江志津の重要刀剣。面白い御刀で、刃は沸出来で変化に富んでいる。地鉄もよく観ると地景も入り、良い地鉄である。変化に富んだ複雑な刃の中に尖り刃があるから、こういう極めなのであろうか。私は直江志津の在銘で拝見したことのあるのは一振りで、その記憶は微かになっていて、地味なものだったと記憶しているだけだから、極めについては、よくわからないが、面白い御刀である。

無銘の尻懸の重要刀剣。これはいかにも尻懸という御刀で、地鉄に流れ柾が入り、刃中に砂流しが入る互の目が乱れながら細かく連なる。鋩子ははきかける。刃も明るく、巷で観る尻懸よりも数段良い御刀である。

長船元重在銘の重要刀剣。刃は片面は元重らしい直丁字刃で、それがより変化のある刃で、もう片面は古調な丁字乱れであるが賑やかである。在銘であり、健全な方であり、良い御刀である。

青江守次在銘の重要美術品。こういう御刀は鑑定会に出ると私あたりだと古備前に入れたら上出来と思う。この時代の御刀は普段拝見していないから、詳しいところは私などわからない。この時代の青江のせいか澄肌はないようだ。刃は直刃調の小乱れである。銘字は独特である。

お金が無理だから入札はしないが、追いかけるとすれば無銘の重美の吉岡一文字である。兼光の2振によって兼光の彫りの素晴らしさを再認識させられたが、自分の所蔵している兼光は感度が良すぎて映りが刃中に入り込み染みているところもあるが、その美術的価値を改めて認識した。畏友のH氏が「地鉄は重美クラス」と褒めていただけるのも実感する。

この記事へのコメント

清宮 純
2013年10月25日 09:57
 おはようございます。早速シンワオークションの下見会に出掛けられたのですね。
私も手元にカタログがありますので、生き生きした先生の文章と見比べております。
私はこの内では「15番、波泳末代の剣、兼光」が一番良いように思えましたが、先生は現物を見て、伝吉岡一文字との事、私も直接見なれないのは残念ですが、先生の感性豊かなブログにて満足しております。いっもありがとうございます。
伊藤三平
2013年10月25日 15:04
私は兼光はすでに所蔵しているし、好みが偏ってますので、あくまでも一人の感想として読み飛ばしてください。

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