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zoom RSS 「刀剣押形の技法」 犬塚徳太郎 著

<<   作成日時 : 2013/09/11 13:24   >>

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今、刃文の押形を採ろうとしている。そこで、標記の古書をはじめて読んだ。私は犬塚氏の刃文の押形は、地と刃の境がくっきりし過ぎている感じがして、それほど好きではないのだが、押形の取り方などを記している本はないので参考にした。

基本として、準備、特に道具の準備があることが書かれており、なるほどと納得する。なんでも道具は大事なのだ。

材料は石華墨(丸を2つに割、その半円を更に2つにわる)、用紙(コクヨ和文タイプ用紙、事前に細く4等分に切っておく)、純良の白ネル生地(刀身を巻いて保護)。消しゴム(大小、変形させ10個くらい)、クリップ(大は幅4センチ、長さ5センチ、小は幅2.5センチ、長さ4センチ、鹿なめし皮で総体にくるむ、補助にマグネットゴム)、カーボンペンシル(太いもの、中太、細いもの)、刀枕、辞書(刀身を挟んで固定)、定規、文鎮、ノギス、色止めスプレー(トリパブA))

銘の押形には興味がないから、以下は刃文のことになるが、次のような手順になると書かれている。もちろん、刃文を描く前に、刀の姿を写し取る必要がある。
@計数的な細かさで刃紋を観察。焼き幅、焼頭の深さ、乱れの谷の浅さ、刃先からの距離、足の有無、足先はどこまで入っているか。
Aその結果をもとに、だいたいの位置に(焼き刃のいちばん深いところ、浅いところ)を見定め、HBの鉛筆で軽く点を打つ。
B点と点を下地用のカーボンペンシルで、きわめて軽いタッチで結ぶ。淡く、ぼけたように描く。刃紋の焼き幅は幾分広めでもいい。
C刃中の働き、足入り部分、砂長し状のところをごく簡単に淡く描き込んでおく。力を抜いて書く。
D中書きは、匂口を締め、刃紋にアクセントをつけていく。足入りは、刃先に向かって横に薄書きし、その上を極細の鉛筆を用いタテに細かく芯を走らせる。
E金筋、砂流しも足と同じ。薄書きした上に、極細芯先で横に微細な線を入れてぼかしていく。
F太めの足が煙るように消えるのを表現するのは、Dの手法で画いた足先に消しゴムを押しつけてぼかす。消しゴムはこすらずに上から押す。
G仕上げ書きは極細の鉛筆を用いて、実感に近いボケを表し、細部まで表現する。
H荒沸は最後に打つこと。
I消しゴムは幾種類もの角度を持ったものを用意する。
J匂いの締まった直刃は、芯先を極細くし、一気に長く線を画こうとしないで、2ミリくらいずつ細い線を幾重にも積み重ねる。これを徐々に伸ばして匂口を形成。
K沸深い直刃は、ごく太めの芯先で下地書き。これを中細の芯先で徐々にボカシ。仕上げは極細で刃中の砂流しを画く。強いタッチではなく、ソフトに少しずつ色調を上げていく。この際も2〜3ミリずつ描く。最後に刃紋より内側の匂口に添うように沸の粒子を鉛筆の先で打つ。

私が、実際に実施している方法とは違うところもあるが、消しゴムの使い方などは参考になる。正確さが大事なのは言うまでもないが、沸の一粒ずつの再現などは無理であり、所詮は絵と考えて、その御刀の印象というか、特徴を表現できればいいのかなとも思うが、これには反論もあると思う。

実際に押形を書かれている方は、色々と工夫をされているのかと思う。ある刀屋さんは、刃文の押形を書くのは売るためであり、その社長は、実際よりも魅力的な刃文、匂口に描き、しかも早く画いていたと聞いたことがある。これも仕方がないことだ。

いずれにしても、刃文を画くことは、刃文のより精細な観察が前提になるのだから、押形描きは鑑定眼を高めるのに良い方法なのだと思う。


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