「第4回新作日本刀 研磨 外装 刀職技術展覧会」 於大倉集古館

刀剣博物館における日刀保の新作刀展に続いて、日本刀文化振興協会の新作刀展ならびに研磨、刀装、鞘、ハバキのコンクールに、畏友のH氏に誘われて出向く。

新作刀では、審査員と出品者との間の技量の差は大きいと感じる。日刀保の方の出品作では、いつもの冴えが無かった広木弘邦氏の短刀だが、こちらの出品作は、刃も明るく、地鉄にも興味をそそる地景が入り、さすがと思った。
宮入小左衛門行平氏は地鉄が他の人よりも澄んでいる感じで、刃も白く、うまいと思う。地刃冴える方がいい。
大野義光氏の丁字は相変わらず見事である。
吉原國家氏は青江の逆丁字乱れを焼き、映りも出ているようで、うまいと思う。映りを目立たせる為には地を黒く研がないのかもしれないが、備前伝は、地が白っぽく感じられて、あまり私の好みではない。黒くしても映りが出るのが映りだと思うのだが。
月山貞利氏は、これまでの作風と私が認識していた相州伝とは異なる小乱れ、小互の目刃を焼いた刃で、明るく、面白いと思った。
三上貞直氏の大互の目刃もまとまっているが、もっと、もっと暴れて欲しい感じもする。小成に安んじることなく、感動を与えるようなものに挑戦して欲しい。

出品者の作刀については権威のある審査員の講評があるのだろうから控えるが、久保善博氏の太刀の刃文は柔らかい匂口で、明るく、他の人とは違う感じもするから、色々と挑戦して欲しいと願う。古の刀匠では匂口が締まって、冴えて、明るい虎徹もいるのだ。

地鉄は、ガラス越しで、展示用の照明だから、よくわからないが、前述したように広木氏のもの、宮入氏のものに惹かれ、久保氏のものに可能性も感じた。

無責任な評と言われるかもしれないが、繁慶などは地割れがあっても、沸の妙味を追求して名を残している。絵画でも、同時代の人には受け入れられないようなものが時代の選別に耐えて後の時代に残るのだ。印象派の画家は官展に落選した当時のアウトローなのだ。今の時代、現代刀は売りにくい。どうせ売りにくいのなら、挑戦して欲しい。詰んだきれいな地鉄、傷欠点の無い地鉄ばかりの現代刀を観ている内に、こんなことを思った。

研磨コンクールでは、新作刀で出品したのが、藤代龍哉氏、関山和進氏と少なく残念である(審査員では池田長正氏、また米川好次氏は明治時代の御刀で出品)。刀工以外の下地研ぎが加わっていない新作刀で勝負する気概で挑戦して欲しい。
イクリンガル氏の研磨が出品されていたが、刀装の部でもハラム氏の作品があり、国際化されていることに感慨を持つ。
その鐔などの製作の部では、ハラム氏の作品をはじめ、刀剣博物館のコンクールよりも意欲作が多く、面白い。
森雅裕氏の鉄で高肉に太公望を彫り上げたものはうまいと思う。長内勝義氏はアイヌ模様を平象嵌して面白い。宮薗士朗氏の吉祥文象嵌、鉄地の福與裕毅氏の八つ橋透かしも現代の透かしで意欲を感じる。

研磨の部を観ていたら、H氏が駆け寄ってきて、「あの●●が研ぎ直されてしまいました」と大いに嘆かれる。ご存じの御刀だったようで「確かにひけはあったが、いい味になっていたのに」とがっかりされていた。
研ぐ、研がないは購入された方の勝手なのだが、もし、研ぎ師さんが相談を受けていたのなら、客観的なアドバイスをして欲しいと切に思う。もっとも自分が研げば、さらに良くなるとの自負もあったのかもしれないが。

名刀のはずが、研ぎによって、御刀の真価を損ねているのではと思う作品もあった。先人によって、それらしさが発揮できるように研いであったのに手をつけるのは大変に難しいことなのだろう。

刀剣博物館の方の出品作も少なかったが、こちらも少なく、大倉集古館の館蔵の蒔絵などが出品されていてとまどった。早く一本化して欲しいと思う。

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