「刀剣人物誌」 辻本直男 著

この本は、刀剣、刀装具に関与した人物を取り上げ、短評しているものである。取り上げている人物は後鳥羽上皇から本阿弥光博、木村篤太郎まで幅広く、総勢65名に及ぶ。

昔の人物では、刀剣や刀装に興味を持った武将として、織田信長、細川幽斎、細川三斎、毛利輝元が取り上げられている。
刀剣や刀装の故実を本に残した新井白石、伊勢貞丈、松平定信を取り上げ、鑑定のことでは本阿弥光徳、稲葉通龍、本阿弥長根、鎌田魚妙、栗原信充を紹介している。
居合、試めし斬りなどで、実際に刀を使う立場から書いた山田吉睦(首斬り浅右衛門のこと)、窪田清音(清麿のパトロン)に触れ、刀鍛冶からは水心子正秀を取り上げている。刀剣に関する書物を残した人物が多く、これらの人となりや、業績、著作のことなどが理解できる。

また幕末・明治から昭和に至るまでの愛刀家や、研究家、鑑定家も多く取り上げている。

明治の愛刀家として、大久保一翁(幕臣で虎徹大好き)、谷干城(熊本鎮台司令官で大坂新刀好き)、黒田清隆(切れ味大好き)、犬養毅(風神雷神虎徹など)、栗原彦三郎(現代刀の父)、杉山茂丸(憂国の士、築地刀剣会)の政治家、軍人も取り上げられている。

殿様として松平頼平、宗重正が掲載され、実業家として川田小一郎(渋好み、子孫が国立博に寄贈)、光村利藻(「鏨の華」出版)、和田維四郎、清田直、堀部直臣(末備前)、大倉喜八郎、森伝吉、小室信夫(日本郵船、小道具)などである。

鑑定家や刀剣雑誌を発行して斯界に貢献した人物として明治の三傑として名高い今村長賀、高木復(利欲に恬淡で鑑定に慎重)、竹中公鑒(宮内省の御剣掛を五十年、古刀の鑑定に優れ、誠に温良で正直)、それに別役成義、藤代義雄(商人だが日本刀要覧などの名著)、大村邦太郎(商人だが、研究家)、内田疎天(「愛剣」、杉原弟子)、加島勲(「愛剣」、大阪刀剣会設立)、中島勝義(「刀剣」刊、新刀)、山田準次郎(槍の権威)、梶原皇刀軒(切れ味から論評)、神津伯(新刀を体系づける)、川口陟(刀剣、鐔で大著)、杉原祥造(虎徹の研究)、本阿弥光遜(わかりやすい鑑定書と講義で大人気)、本阿弥光博、長屋重名(肥後金工録)、小倉惣右衛門、小此木忠七郎、高瀬羽皐(社会事業家、鍛刀技術保存)、鳥越一太郎(鐔の研究)、長坂金雄(雄山閣の出版) 大藪久雄(目利きで見えたので無銘OK主義)、服部栄治(GHQとの交渉にも尽力した刀剣商)などである。

研ぎでは 平島七万三(研師)、山田英(さしこみ研ぎ、鑑定でも著作あり)が紹介され、学者として俵国一、岩崎航介(打倒ゾーリンゲン)、山田復之助(鉱山技師、二王の二所)などが掲載されている。

私などは面白かったが、初心の人とか、今の愛好家は、読んでもピンとこないのではなかろうか。


ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 2

なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック