林重光の在銘の「放れ牛」鐔

これは先月に拝見したものだが、林重光在銘の「放れ牛」の名品のことを記してみたい。戦前発刊の『刀装金工名作集』に所載のものだが、本には「無銘又七」「鐵、松牛透、両櫃」とある。持ち主は、当時は銘が埋もれていたのではとおっしゃっていたが、今は「林」と「重光」に表裏に切り分けた典型的な林重光の銘が見られる。この本に所載のものは細川家のものが多かったと聞くので、あるいはこれも細川家に伝わったものかもしれない。

照りのある羊羹色の鉄で、全体にトロッとした感じがする。そう、作品自体も、のびやかな、駘蕩とした気分を感じるようなもので、見とれてしまう。牛も獰猛なところはあるが、草を食む牛はのんびりしたものだ。そんな「放れ牛」の気分をうまくあらわしている。

又七には又七の、そして、この重光には重光の個性があることがよくわかる名品だ。重光の少し崩したような個性に、この図柄があっていると感じる。

『林・神吉』には三代藤八に、この図はあり、伊藤満氏は「藤八の代表的な図である。「肥後金工録」には藤八の項でこの図を紹介し、その横に「初代掟もの」と註を付けている。しかし今まで又七と思われる放れ牛の鐔を拝見したことがないので不明ではあるが、オリジナルは又七の図であったのであろう。」とコメントされている。

又七より、重光の個性にあった図に思える。一度、伊藤氏にも観てもらいたい鐔だ。

この方のところには、同図の鐔があり、「”これは○○さんから重光のものだ、なかなかこれだけのは出ない”と言われて買ったものだ」とおっしゃっていたが、比較すると格が2つ程度違う。だけど、この鐔一枚で拝見すれば、「そうですよね」と言うようなものであり、難しいものと感じる。

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック