「文明の衝突と21世紀の日本」 サミュエル・ハンチントン著

冷戦時代はイデオロギーによる2極とその他の世界。今はアメリカという1極と多極の世界。
その多極は、文化・文明によって分かれると説く。
すなわち文化・文明は、西欧、東方正教会(ロシア)、中華、日本、イスラム、ヒンドゥー、ラテンアメリカとアフリカの8つ。(アフリカを含めない考えもある)
これからのポイントは中国文明の台頭とイスラム文明の復興。中国文明は経済発展、イスラム文明は原油高に加えて人口が爆発的に増加しているとのこと。
このような情勢を踏まえて、揺れる文明として、これらの外縁にあるロシア、インド、日本の動きが重要になる。
世界の文明の中で、日本文明だけが、日本以外に属する国を持たずに孤立している。すなわち孤立しやすい文明である。(味方も少ない)
1極の巨大なアメリカは1極で支配していると思いがちな行動をとるがうまくいかない。たとえば、アメリカは意に添わない外国の指導者を悪魔よばわりするが、そう呼ばれた指導者はえてして長く君臨する。(カストロ、金正日、フセインなど)
日本は最初に近代化に成功した非西欧の国家だが、西欧化しなかった点が特異であるとされる。そして、日本の近代化は革命的な大激動を経験せずに成し遂げられた点も特異であると述べている。そして、日本の外交は、これまで大国の追随でやってきた。昔は中国、明治になってからは日英同盟時代のイギリス、ファシズム時代の三国同盟、戦後はアメリカ。
今後、台頭する中国にどう向き合うのかという点に問題提起をなげかけている。アメリカの出方にもよるが、共産党一党独裁国家に追随していいのか。
非常に示唆に富む本だ。
なお外交は、新興勢力に対して、勢力の均衡を維持する(バランシング)か、その勢力に追随(バンドワゴニング)するかの2通りの基本戦略があると解説している。
また、対ソ連に対するイスラム世界のアフガン戦争は、イスラムが1極であるロシアをやつけたと自信をもった戦争と書いてあり、なるほどと思った。
またフォルト・ライン戦争《異なる文明圏の国家や集団のあいだにおこる共同社会間の紛争)の悲惨さも描いている。民族、宗教がからむ内戦はまだまだ続く可能性が高いということだ。
ちなみに筆者は文明と文化を密接な分けられないものとしている。私などはドイツ風らしいのだが、文明=世界共通に受け入れられる科学技術等のものと、文化=民族固有のものに分けて習ってきたものだ。詰めて考えていくと、分けられないものなのかもしれない。

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