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zoom RSS 「ボストン美術館浮世絵名品展 鈴木春信」 於千葉市美術館

<<   作成日時 : 2017/10/04 22:05   >>

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私は広重の「名所江戸百景」が中心であるが、浮世絵を購入して楽しんでいる人間である。だから浮世絵商に出向き、新入荷の品物を拝見する。しかし、鈴木春信の作品などはほとんどお目にかからない。作品を多く作らなかったわけではない。およそ実質10年の活躍期間に1000点ほどを世に出したそうだが、時代が古い為に、また版画という素材の為に残っていないのだ。歌麿の時代のものも少ないし、出ても保存状態は悪く、褪色が進んでいる。

それに比べると、この展覧会に出品されているものの健全さ、色の美しさは信じられないほどである。ビゲローなどの明治初期に日本に来たアメリカ人が買ってくれて、ボストン美術館に寄贈していてくれたから、これだけの保存状態で残っているのだ。ありがたいことだ。

今回の展覧会で、鈴木春信という早い時代の浮世絵に、空摺り(版木に絵具を付けずに、強く押し当てることによって凸凹模様を摺り)とか、きめ出し(空摺りの一種で、色摺りが終わった版画を裏返しで凹んだ版にのせ、紙の裏側から圧力をかけ、紙の表側を盛り上げる技法)が実施されていることに驚いた。保存状態の良い作品だからわかるのだ。幕末の浮世絵で生まれた技法と思っていた。

このように手が混んでいるのは、摺物として、数寄者が好みで趣味的に作らせたものだからという面もある。紙も上質なものとのことだ。これら摺物の中から、市販の浮世絵商品として摺ったものも並べて陳列してあって興味深い。数寄者の名前の箇所を削り、色も淡い色から濃い色に変えている。紙も違うようだ。

なお、摺物の中には暦として配ったものもあり、暦に必要な文字などを絵の中に潜ませている。

春信の作品で印象に残ったのは、「夕立」で夕立を降らす雲、雨風の描画、そして風に吹かれて着物が乱れる娘の姿を描いている。
「お百度参りの女」も色が美しく残っていて、版画の技法を見せているものだ。
「流れのほとりで菊を摘む女」(見立菊慈童)、「鷺娘」も同様に見事なものだ。
そして王朝風の絵で美しいのが「女三宮と猫」「官女」だ。色もきれいで感動する。
なお春信には、美しい色だけでなく、白と黒をうまく使った作品もあって印象的である。

当時の江戸の風俗もわかるように陳列してある。相合い傘なども、この時代から見られるようになるのか。
また扇絵を売るのはいい男が多かったなんて言うのも面白い。春信の主人公もそうだが、中性的(女性的)な男性、子どもぽい女性がもてはやされた時代なのであろうか。
それから町娘におけるスターが生まれている。笠森お仙も、その一人だ。吉原のプロの女性以外にも脚光を浴びる女性が生まれたのだ。

この展覧会では鈴木春信の前の時代の浮世絵作者である奥村政信、石川豊信、鳥居清広、鳥居清満などの浮世絵も展示されていた。墨に紅を入れた判紅絵、それから紅摺絵などだ。これから色、判が増えて錦絵となり、そこに鈴木春信がいるわけだ。

それから鈴木春信の後継者として、鳥居清経、磯田湖龍斎、駒井美信、一筆斎文調、鈴木春重、勝川春章の作品も展示されている。そして次の浮世絵スターが喜多川歌麿となるわけだ。

この時代は、江戸美術の革命の時代だとして、館蔵品も含めて、同時代の京都画壇から江戸画壇までの作品を展示している。確かに面白い時代である。
加えて、春信を敬い、慕った近現代の版画家の作品も展示されている。

この美術館は、いつも質の高い展覧会を開催する。千葉市の数少ない誇りである。

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