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zoom RSS 「中世社会のはじまり」 五味文彦 著

<<   作成日時 : 2017/09/17 16:41   >>

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新書だが簡単に読める本ではない。ただ勉強になった。9世紀の日本列島を襲った自然の大変動(富士山の大噴火、貞観の陸奥大地震、鳥海山の噴火、貞観の疫病)。応天門の変のあとに藤原良房が摂関政治をはじめる。大地変動の結果、出羽で元慶の乱がおこる。諸国では富豪が生まれる。開発した土地が多くなったからだ。山野へ分け入って開発を進めるにあたり宗教力と知恵が必要になる。開発した地を守る為に兵が生まれる。平将門の乱がおきる。この乱を平定した平貞盛の子孫が東国で勢力を伸ばす。同じく藤原秀郷の子孫も広がる。

大陸でも大きな政治的変動があった。唐が亡び五代の国が生まれ、960年に宋が立国される。朝鮮半島では高麗、中国北辺では西夏、遼、金、ベトナムでも大越、雲南に大理が建国された。これらの国の中には独自の文字を用いる国風化がおこり、これが日本の国風化と軌を一にしている。唐風に対して和風である。

この後、宇多天皇が寛平の治と称される政治を行う。醍醐天皇が荘園整理令を出すが、有力者の荘園は減らず、政府は租税の収取や軍事の権限を大幅に国司に委譲し、自由に国内を支配する権利を与える。そこで現地に赴任した国司が国衙の最高責任者となり、受領として任国統治を行った。
諸国の受領は、地方での騒乱が少なくなったので、任国に下って大きな冨を得るようになる。文人貴族や歌人貴族も受領になろうとした。
大名田堵と呼ばれる富者も地方では生まれる。受領は冨を京都に持ち込んだ。その冨で娘を宮中の女房として、女性の教養も高まる。蜻蛉日記、枕草子などが生まれる。

信仰では仏を祀る堂が京の各地に生まれる。空也が市の聖と呼ばれ阿弥陀信仰と念仏を広める。巫女、遊女も増える。神仏習合の思想=本地垂迹説が生まれる。末法の世になると信じられ、浄土信仰が生まれる。藤原道長の時代、関東で平忠常の乱(1028)がおきる。源頼信が乱を鎮め、源氏が関東に勢力を拡大する。
広範囲の武士の主従関係が生まれてくる。神を畏れ、名誉を重んじる行動や心性に基づく兵の道が生まれる。

中世社会は永承6年(1051)の陸奥の反乱からはじまる。康平5年(1062)までかかって、安倍氏を鎮圧する。これが前九年の役である。安倍氏の陸奥の奥六郡の「管領の司」の支配が後の武家政権につながる。司とは郡司と違い、辺境の地の支配の為に威勢のある豪族に管領権を与えたもの。これは平泉の藤原氏、そして源頼朝に継承される。

後三条天皇の荘園整理令(1069)などの一連の改革(宣旨枡など)がなされる。 諸国が荘園整理の審査をしてきたのを改め、大内裏の朝所を審査機関として記録荘園券契所を設け、国司と荘園領主双方から書類を提出させ、その審査結果を国司に対して太政官府で、庄園領主には太政官牒で伝えた。厳密にして公正な審査を志向したが、一方で荘園が公に認められるということになった。

後三条天皇も院政を志向したが、40歳で亡くなる。次の白河天皇は我が子に譲位して院政をはじめる。院を武士に守らせ、院政をはじめ、有能な文人官領や中級貴族を登用。
荘園を基礎とする権門や寺社、地方の武士の動きが活発化。南都北嶺の大衆による朝廷への強訴も多くなる中で、それらを超越する王権を志向した。1099年に法皇となる。仏教界掌握の意図である。熊野行幸もよく行う。
院政は専制的で「双六の賽の目と鴨川の水、叡山の僧は思いとおりにならない」が、他はなんとかなるということを示している。

強訴には武力で対抗。源氏、平士の登用。院近臣を国の守に任じ、白河院が亡くなった時に、日本の半分が院により配分されるようになる。

この頃に家の形成がある。藤原氏は摂関家政所を家政機構として整備、中級貴族も家の技能を意識する。中原家は年中行事、史は小槻氏、算道は三善氏、そして各氏は氏寺をつくる。そして日記に記して、先例や故実に備える。家格秩序の固定化となる。
後三年の役(1083)は清原氏を源義家が平定。朝廷は私戦として、義家に恩賞を出さなかったが、義家が自ら恩賞を与え、声望を高め、源氏が関東に声望を持つ。各地で武士の家が意識される。

以下、本では鎌倉時代、南北朝時代までのことが続くが、興味深い視点である。

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