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help RSS 「戦国仏教−中世社会と日蓮宗ー」 湯浅治久著

<<   作成日時 : 2009/03/13 23:19   >>

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鎌倉仏教が誕生したからと言って、すぐに民衆に普及したわけではなかったのだ。やはり当時は天台、真言が盛んで、それが飢饉で餓死する人が多い室町中期から戦国にかけての苦しい時代に、民衆に普及してきた経緯を、日蓮宗を例にとって説いている。
読みやすい本ではないが、私にとっては非常に興味深い本であった。その理由は、私が住んでいる下総国八幡荘のこと、ここには日蓮宗に非常に縁のある中山法華経寺があるが、その地の出来事が詳しく書かれているからである。今では私の家の菩提寺である市川大野の礼林寺のことも出てくる。大野地区の中世の地図が出ているページなど、こんど休みになったら散策しようと思うほどに見詰めてしまった。この地の豪族の名字、集落の名前など、中学時代の友人にもおり、面白かった。なんと著者は現在、市川歴史博物館の学芸員とのこと。
それから刀装具の祖とも言える後藤家が関与した京都の日蓮宗寺院妙覚寺のことも出ていて、なるほどと思った。後藤家は京都の町衆として、寺を建てるほどの有徳人だったのだ。
鎌倉期は地頭に任命された武士が日本中を移動した。千葉氏も、肥前にも領地をもっている。このような豪族が寺を庇護してくれると、その縁で宗教が遠隔地の領地にも広がり、全国化していく。人が移動するということはモノが移動すること、そうすると流通に携わり、お金持ちが生まれ、一方、貧しい人が生まれる。金持ちは有徳人と呼ばれ、貧しい人は奴隷となるわけだ。そして、その貧困は、主として室町中期から戦国にかけての非常に厳しい気候による飢饉から発生していることを立証しながら論をすすめていく。松戸の本土寺の過去帳からの死者の数の統計を引用しているが興味深い。本当に飢饉の時代だ。
奴隷制の存在は、山椒大夫の物語である。今までの歴史の本ではあまり出てこなかった視点で新鮮であった。


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